友人の名は一条楓

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友人の名は一条楓

待ってましたとばかりに隣の田中に人が群がる。女子が多いが、男も転入生は気になるようで、男子の姿もちらほらとみえる。 そして廊下には転入生を一目見ようと人がおしかけていた。 「やぁやぁ、転入生人気だなぁ。雪も大変だねぇ。人の密集度が半端じゃねぇな。」 そう話しかけてきたのは親友の一条楓だ。(地毛らしい)茶色い髪で、耳にはピアスが右に二つ、左に一つ、ついている。楓は高校に入って知り合った。辛いものが好きとの事で2人でよく休日に辛いものを食べに行く仲である。 「うん。すごいね。でもなんかカッコいいから女子の気持ちもわかるなぁ。」 背も高くて、筋肉質で声も低い。僕とは正反対だ。でも逆にそれがコンプレックスだったりするかもしれないから、何も言わない事に決めた。 「そうか?俺の方がかっこいいぞ雪!」 「ナルシストみたいに聞こえるからやめなってば。」 と言ってみるものの、楓はかっこいい。 2年生なのにサッカー部の一軍リーダーで、エースだ。しかも顔もいい上に、人がいい。優しいのだ。これでもかとイケメンな肩書きだが、まだあるのだ。 なんと学年トップの成績を誇る。 こんな男を女が放置しておくわけもなく、告白が絶えない。ファンクラブまであり、先生まで入っているとの噂だ。 「だって、俺かっこいいもん。雪もそう思うだろ?」 悔しいけど、かっこいいのだ。 そして、認めたくないので意地をはってしまうのだ。 「どうだろうな。そこらへんの女子にでも聞いたらいいんじゃないのかな?」 楓はえーっと文句を一つ零すと隣に群がる女子に、なぁ俺って顔はかっこいい方だよな?雪が認めてくんねーんだけど。と言っている。
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