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雪の将来の嫁
オムライスを食い終わった俺たちは、リビングのソファーの上で並んで話していた。
「雪の将来のお嫁さんは羨ましいなぁ。こんなに美味いオムライスが食えるなんて。」
気がついたらそんな風に口走っていた。
しかし、自分で放った言葉なのに胸がぎゅうと締め付けられるように苦しかった。
「やだなぁ、僕はまだ高校生だよ?結婚なんてまだまだ先の話だよ!でも僕は翔みたいに美味しそうに作ったご飯食べてくれる人がいいな。」
この胸の苦しさはなんだろうか。
わからない。
わからない。
わからない、、本当にわからないのか?
否。わかっているはずだ。
もう、自分の中で答えは出ているのに。
俺は、今日出会ったばかりの友達に、
雪に嫌われたくないから逃げただけだ。
俺は、おれは、オレハ、、。
《雪が好きなんだ。》
すとん。となにか胸に突っかかっていたナニかが落ちる音がした。
そうか、、俺は雪に惚れてしまったのか。
雪が男だとかそう言った細かい事はこの時は頭から抜け落ちていた。好きだ、と気づいてしまった今、じっとしていられなくなってしまった。
そして、雪をソファーに押し倒して、告げた。告げてしまったんだ。
「じゃあ、俺、雪の嫁になれるな。」
当然、雪は「は?」という顔をした。
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