名前の読み方は千差万別

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名前の読み方は千差万別

のっぽくんは、黒板にさらさらと名前を書き出した。 田中翔 これはこれは、普通の名前だ。 普通すぎるくらいだ。誰だ外国の王子とか言ったの。外国の血が混じっていたとしてもクォーターとかだろうって言いたくなるくらい普通の名前だ。 「田中です。よろしくお願いします。」 きっと皆一斉に突っ込んだ事だろう。それは読めるぞ!と。聞きたいのは下の名前が『かける』なのか『しょう』なのかだ。 そんな生徒一同の気持ちを代弁するかのように、先生が尋ねた。 「田中ー、お前の下の名前はしょうなのか?かけるって読むのが正しいのか?」 「あ、すみません。かけるでもしょうでもないです。これでつばさと読みます。完璧当て字です。でも昔から読み間違えられてるのでしょうでもかけるでもきちんと反応しますので大丈夫です。」 教室のあちこちからうわ、かわいそうだわとか、すげぇとか、関係ないつばさくんかっこいい〜とかそんな声が聞こえてくる。 じゃああえて先生、苗字じゃなくてつばさって呼ぶな。
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