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スーパーから出るとそこには大きな桜の木がライトアップされていた。
「わぁ、綺麗だね!やっぱり日本の春は桜だよねー!」
上を指差して、翔の方を振り向いたその瞬間、強い一陣の風がぶわぁと吹き抜けた。
「うわぁ!!!」
「雪っ!」
僕はなぜかそこに偶々あったアルミ缶を踏んづけてしまい、バランスを崩した。痛みを覚悟して目をぎゅっと瞑っても、痛みは訪れない。代わりに感じるのは腰にまわった、自分の腕とは雲泥の差の逞しい筋肉が程よくついた男らしい腕であった。
「っぶねぇ。気をつけろよ?雪。」
「ご、ごめん!でも、、ありがとう。」
精一杯の感謝を込めて笑顔で言ったつもりだ。
「っ、、、!」
「?」
(つか、ドジで天然にも程があるだろ、、)
どうしよう、、、。きっと何か怒らせちゃったんだ、、だから何も言わないんだよね。と段々と焦ってきた。
「翔?な、何か怒らせるような事、僕しちゃった、、?」
恐る恐る彼の表情を伺う。
「なんで?怒ってねーよ。さてと、雪、春とはいえ、冷えてきたし帰るか。」
帰るかと言って笑った彼は男の僕から見てもちょっとかっこよかった。
「だね!帰ろ!!」
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