恋、ひらり

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成田医院を出てタクシーを拾い、昨夜仲間たちと花見をした公園の浜通りでふたり降りた。 満開の桜の下。 見上げればひらりひらりと風に吹かれ桜の花びらが舞う。 「……このみ」 「ん?」 「あの子犬、僕が二匹引き取ることにしたよ」 薄桃色の花びらがわたしにひらりと舞った。 「だから、時々あの子犬らに会いにきてやってくれないかな」 「……え?いいの?」 わたしが行ってもいいの? 三津谷くんに、あの子らに会いにいってもいいの? 三津谷くんは気づかないよね。 わたしが中学の時から好きだったのは三津谷くんだったこと。 「このみなら、家に来てもかまわない」 桜の花びらが風に流れてひらりと舞って桜の雨になる。 ふっ、 三津谷くんが笑い、また空を見上げた。 大きく息を吸って、ぼーっとしてるわたしに手を伸べた。
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