「甘えん坊の猫又」

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 それからしばらくして。  お母さんも無事に病院から退院してきて、家はとても賑やかになった。  産まれてきた弟のお世話はとても大変で手伝えることは手伝うようにしているけれど、お姉ちゃんだと胸を張って言えるにはまだまだだと思う。    あの日に起きた事件については分からないことが多い。  犯人は捕まった。  この辺りで空き巣の常習犯だった男が見回り中のお巡りさんに泣きながら助けを求めたという噂だけど、どこまで本当なのかは分からない。  猫のバケモノに襲われたなんて。  そんな噂話。  それにあの日、家に押し入った男は一体何に驚いて逃げ去ったんだろう?  あの恐ろしい怪物の鳴き声。  心なしか聞き馴染みのある鳴き声だった気が。  今ではするのだ。  ニャア。  そんな考え事をしていると、サスケがおもむろに膝元にやってきた。 「どうしたの?」  ニャア。  甘えた声を何度も漏らして撫でるように催促してくる。  家族はみんな弟のことに構いっぱなしだからきっとふて腐れているのだ。 「はいはい」  サスケのお気に入りのコース。茶白毛のお腹に指を埋めて、指で優しく撫でてあげる。そうすればご満悦と言わんばかりに身を揺らす。その姿があまりにもだらしなくてついつい口元が緩んでしまう。  うちの猫は当分猫又にはなりそうにないなと、心の中で笑ってみた。
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