2人が本棚に入れています
本棚に追加
別世界戦で君と正反対の女は「また会ったわね」と初対面で俺に言ったんだ
丸い紅い太陽だ
そうかもう夕方になったか……
「あれ?こんな所にいたんだ」
「ああ。お前かい」
教室の入り口から俺に近付いて来たのは同じクラスメイトで友達の通称【みな】だ
「また哲学的になっちゃった?」
「ならない。いつも過ぎて」
「へー」
長い髪を纏めていたヘアピンを外し、下ろす。その髪は肩まであって、やたら髪質が良い。色は青で、光に当たると過ぎない程度に光ってみえる特徴がある
「今日の一日はどだった?ダルい?」
「怠惰と言う事は無い。変わらない一日だよ。みなさんお元気な事」
「もーまた変な言葉使ってー!」
「………お前の機嫌をそこねる気は無い」
むっとみなは膨れた。膨れたまま、ポケットから菓子を取り出して、口に入れた。その菓子が何なのかなんて俺には興味が無いけど、
菓子ばかり食べて身体は大丈夫かと心配にはなる
「ところでさー」
「何だ。くだらない願いは聴かぬぞ」
「今月給料注ぎ込んじゃってーちょっと貸してくんない?」
「ね。お願い」
注ぎ込んだ理由は解ってる。彼女にまた利用されたのだろう。しかし、その彼女はこないだブランドショップに居たぞ。それを解ってるのかお前は。そんな掌揃えて
「断る。生憎、俺も金欠だ。親にでも縋れ」
「えーーそんなー嫌われちゃう」
はーまたお前はそうやって泣きそうになる。
しかも演技では無い、真の泣きそうになってる状態。あ、泣いた
「泣いたって変わらんぞ」
「…………」
確かに泣き顔は可愛らしい。泣き顔の方が普段より可愛らしい気がする程だ。だが、金欠なのには変わらないのだ。金は出てこないのだ
「いじわる………」
「仕方ないだろう」
しばらく涙目のち、けろっと元に戻った。
この男、涙もろく戻りやすい。変な男である
「ねー知ってる?」
「なんだ」
「隣のクラスに居る菜美って女」
「女と呼ぶな、女性と呼べ」
「その女の子さー魔女と契約したらしいよ」
噂話か。お前がそうやってスマートフォンを操作しながら話す事は大した事では無い証拠だ
「今日だって"私、どうしても語尾ににゃんがついちゃうんですにゃっ!すいにゃせん!
"とかさ。 変だよ。あれは魔女に騙されてるって」
「下らん。騙されてるしてお前はどうしたい」
「奪い取りたい」
「奪いとる?」
「魔女を奪いとって世界を僕の物にしたい」
「その考えお前らしいよ」
操作してるスマートフォンからは数分事に変な音がなっていた。マナーモードにしろと言いたいが、面倒だ。好きにしやがれ
「ゆうきは魔女をどうしたい?」
「どうもせん。魔女等見飽きた」
「さっすが、80回転生した男。かっくいー」
「格好など良くないわい。魔女は嫌いだ」
「まあまあ。そんな事言わず………魔女とも仲良くなろうよ」
「嫌だ」
猫の様に近付いて来る時はぐいぐい来る。
顔が近い。笑顔が近い。離れろ……
「もーこんな顔して」
「やめろ、頬を触るな」
「んーかわいー」
顔を顰めるば顔を顰める程、その顔は満足顔になってゆく。ああ………息が生暖かい
「なーんてからかうのはここまで。じゃ、僕行くわ。彼女とデートあるんで」
「早く行け………」
髪を下ろしたまま、みなは足早に教室から去って行った。一人になった教室は電灯一つじゃ流石に暗い。仕方ない、俺も帰るか
「あらー?悠生じゃにゃいの。一緒に帰るかにゃ?」
おっと、菜美か
「ああ、いいよ。だが、その口癖は寄せ。気持ち悪い」
「違うのー!勝手になっちゃうんだにゃー!
もう説明もつかれたにゃー!」
やれやれ。この女性はほんと、面倒。ま、楽しいちゃ楽しいけどね
「わ!くにゃい!じゃなくて………暗っ!そんな時間にゃ?」
「確かに暗い」
電灯が休む教室は真っ暗だった。のんびりし過ぎた様だね。夕が終わってたとは
「で」
「ほんとにゃの?いつか山田真飛に殺されるかもしれないって」
「冗談に決まってるだろ。信じてたのか」
「だ、だよね………って?!冗談にゃの!?」
彼女は歩きながら、俺をゆさゆさ揺さぶった。窓の外は太陽が裏側に行った世界だ。
人々が忙しそうに動いてら
その中には………アイツも居る
前世もその前もその前もお前は俺を殺した。
だからこの世界線でもお前は俺を殺すのか。
上等だよ、やってみろ。
何度転生しても女になれない俺を殺してくれ
ふふふ………
「ちょっと!窓の外ばっか見てないで私をみてにゃー!」
「笑わせるな。彼女みたいなセリフを」
「彼女だもん!自称だけど彼女にゃもーん!」
誰も居なくなった廊下に声は響いていた
最初のコメントを投稿しよう!