はめごろしの夏

5/9
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 ドンドンドン……。  音は、ますます大きくなっていく。  近くに木があってその枝が当たっているのかと考えようとするが、木はない。  座っていた私はおそるおそる窓ガラスを見上げる。  窓の外に白い顔……。  全身が総毛立つ。  ここは二階のはずなのに……、  いったい誰がのぞききこんでいるのだ。  ドーン、ドーン、ドーン……。 「いい加減にしろ、いやがらせは……」  そう、叫びたくなる。  でも、だれの嫌がらせなのか。  ドードーン、ドードーン、ドードーン……。  音は大きさを増し、そのリズムは私を誘うかのようだ。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!