はめごろしの夏

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 ホラー映画を観るとき、いつも思う。  おまえら、どうして危険な方向に近づいていくんだ。  じっとしていればいいのに……。  まさに、今がそう。  それでも、私は思い腰を上げる。  死神に残りわずかな命を捧げるように、そろりそろりと窓に近づいていく。  雨だれで曇ったガラスの外側には少女の顔があった。
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