はめごろしの夏

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 その顔には見覚えがある。  小学校四年生のころ、私は小柄でいつも、いじめられていた……。  プロレスが大流行しており、休み時間に私は悪役レスラー役を強制される。 「こんな貧弱な悪役がいるのか」  私は心の中で叫んでいた。 「これはプロレスという名のショーなんだ」  優等生でいじめっ子の代表のたけしが、いじめをまんまとショー化することに成功する。  プロレス好きの若い男の担任もニタニタと笑っている。 「やめなさいよ」  そう声をかけてくれたのが、智子であった。
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