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「めちゃくちゃ、大きいやんけ」
「一メートル五十センチぐらいはあるでー」
友だちの一人が、
「釣り上げへんか」
と言い出した。
翌日、一旦家に帰ってから彼は釣竿を持ってきた。一般的な釣竿である。公園の端にある木の根元の枯葉を掘り起こすとミミズが取れたので、それを釣り針につけゆっくりと肥溜めに下ろしていく。
鯉はあっという間にそのミミズを飲み込む。釣竿だけでなく友だちまでが便器の穴に吸い込まれそうになり、あわてて三人でその釣竿を支え持ち上げようとしたが、とてつもない重さである。
グイッとひかれたときに、プツンとあっけなく釣り糸は切れた。
その拍子に三人は尻餅をつく形となった。
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