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ここ以外には、あり得ようはずもない。
女のようなばけものの、在って許される場所など。
「····この雪原の真っ白な雪は、春になっても、永遠に溶けませぬ。溶けぬ雪ほど、全てを隠せるものはない―――あなたさまがここにいることも、きっと、わたくし以外には、知られぬままでしょう」
そう言って、女はそっと火箸を囲炉裏の隅に置く。
やがて藁の褥の上に上体を起こしたままの男の横に、女はゆっくりと近づいて、ひざまずいた。
冷たい手が、男の頬へ。
ひやり、と。
けれど触れたように感じられるのは、男のほうだけ。
女の指には何も、残らぬ。
触れることすら、決して叶わぬ。
「····そのまま魂を奪われて死ぬか。せめて、この世の憂いをすべて投げ出せるほどの快楽を覚えて、死ぬか。―――どうか、お選びくだされ」
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