セピア色の嘘

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セピア色の嘘

 子供の頃、血液型はA型だった。真面目で几帳面な性格は持って生まれたものだと思っていた。  折り紙を作っているときに「角をキッチリとくっ付けていて、几帳面で手先が器用だね」  掃除をしているときに「雑巾をたたんで裏表を上手に使ってて、真面目で綺麗好きなんだね」  カレーライスを食べているとき「お皿の端からスプーンですくってキレイに食べてて、几帳面な性格だよね」  何かにつけて、A型の性格で褒められてきた。いま思うと「そうしなさい、って指導されてきたことばかり。性格は関係ないよ」とツッコミたくなる。  「他人が口つけたコップやお箸を使わないなんて、ちょっと神経質だよね」  「1度決めたら変えようとしない、頑固で融通がきかないよね」  A型の短所である「神経質」「我が強い」についても指摘され続けてきた。  自分でも占いや性格診断、手続きの書類などは「A型」を違和感なく普通に使ってきた。  大学生になり、ある日を境に、血液型と性格が一変してしまった。  「あなたのご両親の血液型は?」と聞かれ「A型とO型です」と答えた。すると、献血ルームの看護師から「良かったわね。あなたの血液型はO型よ」と笑顔で言われてしまった。  この日から、「おおざっぱ」「調子に乗りやすい」おおらかな性格のO型になった。  この嘘は何色でしょうか?  私には『セピア色』の思い出で、カレーを食べている皿を見ると、にやけてしまう。
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