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ニコニコ顔の少年に鼻を鳴らす。
この先どうなるかは分からないが、ニコラと口がうまくない俺とは案外いい組み合わせかもしれない。
首尾よく食料を調達できるかは分からないが、いざとなったら知らない町で、見世物をして小銭を稼ぐ手もある。
イノシシと心を通わせる美少年、なんて大人にウケそうじゃないか。
「隣町まで相当あります。まずはこの山で食料を調達してから、隣町にたどり着くまでの算段を整えましょう」
相棒がリアリストなのもいい。
下手したら俺より現実的だ。
『へいへい』
――まあ、これからはゆっくり大人になればいいさ。
土に鼻を寄せる。
小さな生き物たちの豊穣な息遣いの中に、木の実の気配を嗅ぎ取った。
【了】
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