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だんだん当たり前のようになってきている。猫ロボットたちが突然現れ、振り返ったら必ず消えているということが。
七都はもう、必要以上に緊張したり、戸惑ったりはしなくなりつつあった。
確実に慣れてきている。
それは、自分を無意識に防御しているということなのかもしれなかった。
猫ロボットに左右から挟まれ、グリアモスが座っていた。
三匹とも砂の上に、うなだれたようにうずくまっている。
彼らの横には、やはり砂に突き刺さった銀の円盤。
グリアモスの取れた二本の腕は、元通り、ちゃんとその両肩から伸びていた。
体育座りをしている膝のところで、指がきっちりと組まれている。
七都は、ほっとした。
よかった。くっついてる。
やっぱりアンドロイドなんだ。
自分で直したのかな。
三匹は、通りかかる七都をいっせいに見上げた。
期待のこもった、すがるような眼差し。
もちろん、猫ロボットのオパールのような目も、グリアモスの銀色がかった薄いブルーの目と黒い線の瞳も、相変わらず表情は読み取れなかったが、七都はそんな気配を感じた。
<オネーサン、待ってたんだよ>
<出番だよ>
そう告げられてるような気分だった。
(すみません。無視しますってば。無視っ!)
七都は、真正面の砂漠の風景をただひたすら睨みながら、彼らのそばを通り過ぎた。
少し歩いて、振り返る。
もちろん、そこには何もない。
まったく、もう。
いちいち振り向く私も私だ。
もう振り向くの、やめなくちゃ。
七都は進行方向に向き直ったが、その途端、何か固いものが足に当たった。
「ぎゃっ!!」
その固いものにけつまずき、七都はもんどりうって、砂の中に転倒する。
七都のそばに、例の銀色の円盤が埋まっていた。
七都がつまずいたのは、その円盤だったのだ。
「な、何でこんなところにっ!」
七都は、上半身を起こす。
真正面に、黒いマントのグリアモスと銀の猫ロボットが二匹、並んで座っていた。
彼らとまともに目が合ってしまう。
<それ、砂から出してよ>
<そうだよ。オネーサンなら、出来るでしょ>
猫ロボットたちのうるうる目が、そう言っている……ような気がする。
<私には無理ですから。ご覧になったでしょう>
グリアモスの薄いブルーの目は、そう言っていた、たぶん。
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