第5章 二人の使者

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 キディアスが出て行ったあと、七都は、深い深い溜め息をつく。  ストーフィが、いつのまにか七都のそばにくっついていた。  七都はストーフィに手を回して、引き寄せる。 「あー、びっくりした。まじで、ちょっと怖かった」  ストーフィが、軽く、こくんと頷いたような気がした。 「君もびっくりした? そうだよね。真に迫ってたもの」  七都はストーフィを抱きしめて、ベッドに体をゆったりと横たえた。 「でも、考えてみれば、キディアスが私に何かするはずもない。何かしたら、それはナイジェルに対する裏切りになるんだもの。そういう点では、却って信頼できる人なのかもしれない」  七都は呟いた。 「だけど、キディアスって、やっぱり、『ドS』だよね。シャルディンは、単にいたずらでおちょくるだけだから、かわいげがあるけど、キディアスは、ほんっとリアルで、怖いもん」  ストーフィが、深く頷いたように見えた。  あれ?  言葉の意味、わかって頷いたの? 「……超ドS」  七都がストーフィに向かって呟くと、ストーフィは、オパール色のまんまるい目で、七都をじとっと見つめ返した。 「ところで、やっぱり君って、抱き心地が悪いよね。なんせ金属だものね。エルフルドさま……もといアーデリーズに、毛皮のコートとか作ってもらえるよう、頼んでみようか? それか着ぐるみもいいね。ネコ耳付きの。きっとかわいいよ」  ストーフィは、気を悪くしたのか、あきれたのか、それとも、毛皮のコートやネコ耳付きの着ぐるみを身につけている自分を想像したのか、真っ直ぐ天井に視線を止めつけた。 「私、しばらく寝るね。休息が必要なんだって。キディアスのおかげで、よく眠れそうだ。おやすみ……」  七都は、目を閉じる。  ストーフィは顔の向きを変え、いとおしげに七都を眺めた。  それから、七都を守るかのように、ぴったりと寄り添った。
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