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「ええ。その点はだいじょうぶです。みんな、そういう行事を好みますからね。すぐに集まるでしょう」
ジュネスが答えた。
それから彼は、少しためらうように、ジエルフォートに申し出る。
「ジエルフォートさま。あなたもおいでになりませんか?」
ジエルフォートは、笑って首を振った。
「誘うだけ無駄だ。私はそういうものに興味がないし、決して出ることはない。君も知っているだろう」
ジュネスは、七都が彼の誕生会の誘いを断ったときよりも、さらに寂しそうな顔をした。
「私の誕生会も、毎年お誘いしているのに、来て下さったことがありませんね。子供のときはよく……」
「ジュネス。君も子供のときのように、私をもう本名では呼んでくれないじゃないか?」
ジュネスは、黙り込む。
ジエルフォートは、七都のほうを向いた。
「ああ、別に踊れないわけじゃないぞ」
「訊いてませんっ。ところで、ジエルフォートさま。アーデリーズは?」
七都は、先ほどから胸のあたりにつかえていた質問を彼にぶつけてみる。
ジエルフォートさま。もう少し、アーデリーズのそばにいてあげたらいいのに。
ほったらかして、出てきてしまったの?
「君のベッドで眠っているよ。疲れたみたいだね」
それから彼は、七都に、にやりと笑ってみせた。
「それなりに、激しい運動をさせてしまったからね」
う……。
七都は、うつむきそうになる。
は、はずかしいからごまかしたって?
絶対にウソだ、キディアス。
わざとだ。カンペキにからかわれている。
でも、負けないっ。
けれども、魔王たちの下ネタおちょくり攻撃に対抗するには、年齢と経験が足りなさ過ぎる。
七都は、「はいはい」という感じでにっこりと微笑もうとしたが、明らかに顔は引きつっていた。
「ははっ、かわいいね、ナナト」
ジエルフォートが七都の反応を見て、満足そうに笑う。
やっぱり……。
全身から力が抜けた。
「で、でも、ジエルフォートさま。たとえ眠っていたとしても、アーデリーズのそばにもう少しいてあげても……」
七都が言うと、ジエルフォートは不思議そうに七都を見つめた。
「なぜ? アーデリーズには、これからも、いつでも会える。毎日でもね。だけど君は違う。今度いつ会えるかもわからない。もう二度と会えないということもあり得る。君は元の世界に帰ってしまって、こちらに来ることはないのかもしれない。だから、来た。ジュネスとの面会に立ち会いたい、というのもあったしね」
確かに。さすがに理系男子。
やはり、もっともで、筋の通ったことをジエルフォートは言う。
だが、アーデリーズは、ほったらかしにされて、寂しくないのだろうか。
七都は、思う。よけいなことかもしれないのだが。
目が覚めたとき、そばにジエルフォートさまがいなかったら。
なんか女の人って、そういうことすごく気にするって……ドラマとかでよくそんなシーンがあるし……。
「では、ナナトさま。明日の晩なら、出席していただけますか?」
ジュネスが七都に訊ねた。
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