19-5

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「つまみとか、雑な言い方するからスルメとかだと思うじゃん」 「そんなしゃれた言い方知らねぇよ」 「書いてあるだろ」  にこにこしてると、やっぱり可愛いよな。笑ってる龍樹より可愛い生き物を、俺は見たことがない。 「こっちで食うか?」 「そうしよ」  いつも食事はキッチンカウンターの脇の小さいダイニングテーブルで食うけど、何となくリビングの方のテーブルの方がそれっぽい気がする。よくわからんけど。  龍樹はチキンを皿に移してレンジに入れる。  俺はオードブルのパッケージの蓋を開ける。 「これも皿に移すか?」 「それはそれでいいだろ。ちゃんと盛り付けてあるし」 「ふーん」  それならそれで。 「お前、晩飯これで足るか?」 「うーん。足らなかったらパスタ茹でるよ」 「そうか」  自分が呑みながら食う分量しか頭になかったな。これはちょっと失敗だ。次への課題としよう。 「ケーキはどんなやつ?」  龍樹がこっちへ戻って来て、ケーキの箱を開ける。 「イチゴショートじゃん! 美味しそう」 「ショートじゃないだろ。丸いぞ?」 「ショートって、小さいって意味じゃないからな?」 「そうなのか?」  小さい、ならスモールだろ? って長年思ってた。そうか、ショートはスモールの間違いじゃなかったのか。 「イチゴと生クリームのケーキは、大きさ関係なくイチゴショート。何でなのかは僕も知らないけど」 「知らないのかよ」 「知るわけないじゃん」  一緒に笑う。めちゃめちゃどうでもいいけど、龍樹はちょっとはしゃいでる様子だし、喜んでるみたいだから良しだ。 「あ、ロウソク入ってる」 「クリスマスもロウソクつけるのか」 「つけないでしょ」 「入ってるし、つけとくか」 「何でだよ」  そう言いながらロウソクの袋を開けて、ぐるりと立てる。それから、レンジにチキンを取りに行ってテーブルに運んでくる。  俺はビールとコーラを持って来る。缶とペットボトルのままだけど、まあいいだろう。 「玲次、ライター」 「あいよ」  テーブルの隅にタバコと一緒に置いてあったライターを取って、火をつける。
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