19-8

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「いっつもリアクションとりにくい微妙なサプライズじゃん?」 「嘘だろ」 「ほんとほんと。それはサプライズじゃなくて普通に言って欲しい、とか、サプライズなんだろうけどオチが読めてるとか」  地味にショックだなこれ。 「でも、今日のはめちゃめちゃ嬉しい。ありがとう」  素直な言葉。俺が楽しみたいんじゃなく、龍樹の為にしたことだって、伝わったと思っていいんだろ? 「成功か?」 「成功。ちょうどいいサプライズだったよ」  ぎゅっと抱きしめる。龍樹は声を立てて笑う。キスしたいな。そう思って顔を覗き込むと、笑いながら、俺に釘を刺す。 「まだご飯食べてるから」 「お、う」  俺が腕を解くと、機嫌良くローストビーフに手を伸ばす。俺もビールを呑みながらスモークサーモンをつまむ。  俺に寄りかかりながら、冷めたフライドポテトをくわえて、スマホを手に取る。行儀よく食事をする龍樹にしては、珍しく行儀が悪いけど、リラックスしてるのか。  見ていると、カメラを起動してテーブルの上を撮る。それからツイッターを立ち上げた。 「アップすんのか?」 「うん。もうどうせ同居してるの公認なんだし」 「ReIJIと地味にパーティしてる。メリークリスマス!」というツイートに、ケーキとオードブルとコーラが写った写真が添えられて、送信される。 「俺もツイートした方がいいか?」 「好きにしたらいいよ。僕は嬉しかったからツイートしたけど」  微笑んで、俺の顔をちらっと見る。 「こんなのしてもらえるんなら、何か用意しとくんだったなぁ」 「何か?」 「うん。プレゼントとか…あ、欲しいとかじゃなくて!」  プレゼントの請求に聞こえるんじゃないか、って気にしてくれたんだな。そう聞こえてしまったら、珍しくここまでやった俺の機嫌を損ねるんじゃないかって、気を使ったんだろう。  龍樹の頭をくしゃくしゃと撫でる。ふふっと笑って、コーラに口を付ける。 「一回でも、お前とこんなこと出来て良かった」  小さな呟き。俺の期待されてないこと、この上ない。今年だけの気まぐれだと思われてる。  それと多分、これはこいつがこれまで付き合ってくる中で身に着けた保身術なんだろう。俺に多くを期待したら、がっかりするから。だから、俺には何も期待しないっていう。 「一回じゃなくて」 「え?」 「来年も、再来年もやるよ」 「マジで? 玲次が?」 「何だよ」  俺の顔を凝視しすぎだろ。こんなに完璧に期待されてなかったか。させなかったのは俺だから、自業自得だけど。
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