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「SHOW-YAですか!?」  これはまた意外な線で来たな。ガールズバンドか。 「ああ」 「面白いですね、それ」  それなら、あいつも知ってそうだ。 「だろ?  考えてみるわ。レイジはジャパメタ希望な」 「ジャパメタじゃなくてもいいですよ」  12月に入れば、1曲や2曲コピーする時間くらいはとれるはずだ。せっかくだから、勉強の為にやったことのない曲もいい。 「考えとくよ。あっ、そうだ。ベースじゃなくてギターで」 「えっ? ギターですか?」  一応、俺の本職はベースだ。ベースに転向して25年。自分でもそろそろベテランって言ってもいいかと思う。 「おう。雄貴がお前とツインギターやりたいって言ってたからな」 「えっ!? 雄貴さんがですか?」  ケルベロスのギタリスト、雄貴さんが俺をツインギターの相方に指名してくれたのか? 光栄だけど、責任重大だ。 「ああ。大丈夫だろ? 新ユニットはギターだって言ってたじゃねーか」 「頑張ります」  雄貴さんが俺のギターを聴いてくれたのって、3月にやったルージュレイズの再結成の時だよな。あれで声掛けてくれるとはありがたい。 「で、龍樹くんは元気か?」 「元気ですよ。会社とレコーディングで忙しくさせちゃってますけど」 「お前が誘ったんだから、心配だろうけどさ」  声に出ちゃってたかな。心配してんの。あいつの体が弱いわけじゃないけど、俺より睡眠時間少なくなってるから、それだけでも心配だし、ちょっと悪いなとは思ってる。 「龍樹くんが自分でやるって決めたんだから、もうお前が心配するとこじゃねーぞ?」 「そうですよね」  あいつもミュージシャンなんだ。俺が誘ったのはきっかけに過ぎなくて、この音楽をやるって決めたのはあいつ自身なんだ。それは、俺が恋人だからなんてくだらない理由じゃなくて、俺と音楽を作りたいっていうミュージシャンの確かな意志のはずだ。  イヤならイヤだって、あいつならはっきり言うはずだからな。 「ま、仕事以外のとこではちゃんと大事にしてやれよ? また家出して来たら保護するけど」  和馬さんは笑う。そう、去年のクリスマスイブ家出の行先は、しおんくんの家。つまり和馬さんの家でもある。  その節はほんとに申し訳なかった。  新婚家庭初めてのクリスマスイブに水をさすなんて、とんでもないことしてくれたよ。  原因は俺だから、俺が悪いんだけど。 「何とか家出は阻止しますよ」 「阻止じゃなくて、家出しなくてもいいようにしてやれよ」 「あー…まあ考えては…」  いるようないないような…。昨夜見たテレビの画面が頭の中に浮かび上がる。あんなしょーもなく恥ずかしいことしなきゃいけないのか? 「…和馬さんは、クリスマス何かするんです?」 「うん? 今年は店あるから、店のクリスマスイベントだな」  そうだ、去年は休日だったから龍樹も朝っぱらから家出したんだし、和馬さんたちは自宅ではクリスマスイブだったんだ。  ってことは、今年は龍樹も仕事か。昼間どっか出かけるとかの企画は除外だな。
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