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3-3
「あとはまぁ、何にするかは決めてないけど、プレゼントは何かするかな。その前に結婚記念日があるけど」
「記念日ちゃんとやる方なんですね」
「クリスマス、誕生日、結婚記念日くらいだぞ。あとは、初めて会った日か。それはプレゼントまではしねーけど」
充分マメだ、それ。初めて会った日まで祝うのはすごくねぇか?
「しおんくんが、そういうのうるさいとか?」
「いや、うるさくはねーけど…多分、俺とその辺の感覚が似てんだと思うよ。自然に何欲しい? みたいな話になるから」
「欲しい物聞くんですか?」
それ聞いちゃったら、プレゼントもらう楽しみがなくなりそうだけど。さりげなくリサーチしたりするもんじゃねぇのか。俺はそれがもうめんどくさいし、苦手だ。普段からアンテナを張って、なんてやってられねぇし。
「聞くよ? 俺もあいつも。欲しいものもらった方がいいだろ。やる方としても、確実に喜んで使ってもらえるわけだし」
「…なるほど」
それは確かにそうだな。開けた途端に何これ、ってリアクションも辛いし、ひっそりホコリ被ってんのも悲しい。
だから、俺はあいつの誕生日に無言で唐揚げを作るわけなんだけど。確実に喜んで食ってもらえるからな。ただ、プレゼントとしては認識してもらえてない。
誕生日の度に、クリスマスの度に、あいつが何も言わないでケーキを買ってくるってのは、俺もわかってる。あいつの何も言わない、は、俺と喧嘩したくないからなんだってのもわかってる。昔、何回もそれで喧嘩したからな。
「今年は何かしてやれよ。たまのことだ、いいじゃねーか」
「ですね。今更恥ずかしいけどなぁ」
「ま、バチはあたんねーし、喜ぶぞ。やってやれ」
「考えますよ」
と言うものの、クリスマス何が欲しい? なんてやっぱ言えねぇわ。
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