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「あぅ……お鼻が痛いですわ。もげたかも……」
「それは大変だ、お見せくださいナルシアさま」
涙目のナルシアをヒョイと抱き上げ、パズーはニッコリと微笑んだ。
「大丈夫ですよ。可愛いお鼻はちゃんとついています」
「くすん……ラグの皮がもう古くなって硬いのですわ」
「では明日にでも人間を数人狩り、皮を剥いで新調致しましょう」
パズーはアシュタロトの配下ではあってもその実力に大差はない。
もし反旗を翻したならば魔界を二分した大紛争になる……が、それをしないのはひとえにナルシアに嫌われたくない&そばにいたいから。
「ねえねえ、それより私いまボス戦に行ったでしょう? 勝ちました?」
「いいえ残念ながら。ステージ5はどうやら手ごわいようですね」
「はぅん……やっぱり。この“負けると記憶が消される”というシステム、なんとかなりませんの?」
「申し訳ありません、そのように作ってしまったので。ようは勝てばいいのです」
実は彼が構築したゲームの特殊システムはもうひとつある。
「さて……次のミッションはどうするか」
ステージをクリアしない限り、ナルシアの身体は時を止めたまま。1ステージクリアごとに一気に一年分成長するように作った。
「ナルシアさまが暴れられて、しかしギリ勝てないといった微妙なサジ加減の案件を……」
大公爵からナルシアを預かった時から幾年月。
ゲームの魔力で成長を止めてはいるが、たまに本来の姿を開放しないと心身共に歪みが生じる。ゆえにボス戦は必要不可欠。
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