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「わかりました。以後気をつけましょう」
「では結婚してくださいますね? なんなら既成事実だけでも」
「そこですわ」
「どこでしょう?」
跪いたまま、パズーがくるりと周囲を見渡す。
「おトボケは良しとして。既成事実というならすでに私たち一緒に暮らしていますし。結婚と同じでしょう」
「全く以って違います。結婚とは」
「ケッコンとは?」
「わたくしの蛇と戯れるコト!」
にょいん♪とちょうどその時、パズーの肩越しに青いヘビが顔を出した。
「ヘビさん……? まあ確かに、時々見かけますわね。庭から入ってくるのかと。あなたが飼ってらしたの?」
「庭ヘビのようなチッコイのと一緒にしないで頂きたい!」
「え、だって」
ソレ、と指さそうとした手が大きな両手に包み込まれる。
「ご安心を。わたくしのヘビは変幻自在です。普段はそっとナリを潜めておりますが」
「いえ、だからひそめてなど」
ルンルン♪と肩の後ろで話題のヘビがご機嫌で踊っているのに、パズーは気付いていない。
「ナルシアさまのGO!で即大蛇に早変わり。決して失望させるような代物ではございません。なに、興味がある!? 一度お試し……!」
「もういいです。意味不明ですがワカリマシタ」
「ではGOサインを」
「お父様がなんとおっしゃるかしら」
「そうきましたか」
チッと舌打ちしてパズーは端正な顔を苦々しくゆがめた。同時に件の青ヘビもシュンと頭を垂れて何処へ。
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