川の底

２

「ごめんね、私帰らなきゃ。戸締りお願いしていい？」
「あ、ああ。任しとけ」

　事務所を手早く片付け鍵を締めると、後はお願い、と何か言いたげな稔を残し、私は工場の裏にある自宅へと帰った。

　父は、テレビを観ながらビールを呑んでいた。

「父さん、今急いで晩ご飯作るから。お風呂、どうするの」

　テレビを観たまま、父さんは言った。

「メシは後だ。先に風呂だ」

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