2/8
前へ
/87ページ
次へ
 稔は8年前、保護観察中の少年としてここに来た。  いわゆる素行不良で何度となく補導され、最後は少年院で服役したという。  背が高く細身。茶髪。腕にはタトゥー。  とにかく目付きが悪かったけれど、よく見ると顔立ちは整っていて、さぞモテたのだろうな、という顔をしていた。  容姿と態度からだいたいどういう経緯を辿ってきたか容易に想像出来た。  でも、父の工場に来て8年。  当時まだ小学生だった私の遊び相手になってくれるような意外な姿も見せてくれた。  私とは、家庭環境の複雑さとか、通じ合うものがあったのかもしれないけれど、私は稔に懐いた。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加