視線

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 何の拍子かは分からない。  ふと、柚希は夜空を見上げた。  満月がパチパチと点滅をしたのは、それと同時だった。  まるで大きな目が瞬きをしたように見えた。  柚希は思わず満月を凝視した。  また、パチパチと点滅をした。 「やっぱりそうなんだわ」  柚希はついに視線の正体を理解した。  満月に見えたそれは化け物の目だったのだ。  そいつは上空から柚希をじっと見つめていた。  柚希が感じていたのは、その視線だったのだ。 「見つかったなら、仕方がない」  耳元でガラスを引っ掻くような声が聞こえた。  柚希は咄嗟に声を上げようと口を開いた。
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