視線

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 歩き始めてすぐ、彼女は違和感の正体に気付いた。  どうやら自分が誰かに見られているらしかった。  どこからかは分からないが、視線を感じる。    速足でいくらか進んでは立ち止まって振り返る。  だが、そこには誰もおらず、周囲に動く影も見当たらない。  もう一度歩き出し、立ち止まっては周囲を見回す。  「何なのよもう」  足を踏み鳴らして声を荒げても無駄だった。  このまま家に帰れば、視線の主に自宅を教える事になる。  最後には小走りになったが、視線を振り切ることは出来なかった。
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