視線

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視線

 仕事がなかなか片付かず、柚希(ゆずき)が会社を出た頃にはとっぷりと日が暮れていた。  住んでいるアパートの最寄りの駅で電車を降り、改札を出てため息混じりに夜空を見上げる。  空には真ん丸で大きな満月が浮かんでいた。    ふと、何やら違和感を感じ、柚希は周囲を見回した。    特に何も変わったところは無く、同じ駅で降りた人達が家路につく背中が見えた。  柚希も気のせいだと思い、そのままアパートへの道を歩き出した。
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