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「どうぞ」
差し出されるコーラを受け取りながら小川は礼を言った。
「つーか、遅かったな。遠かったのか?」
「あ、いや。ちょっと人と話してて」
「…美人か?」
小川の問いに弘一は慌てた。
「外科の先生ですよ!男性。まぁ、美人か?って聞かれたら否定はしないですけど」
思わず吹き出しそうになるコーラを小川は何とか口の中に留めた。
「お前、男に美人って誉め言葉じゃねぇだろ」
「分~かってます。分かってますよ!でもマジで綺麗な顔だったんですよ。芸能人とか、モデルとかでもおかしくないような。ようするにイケメンってやつです」
「イケメンの外科医。まさに人生の勝ち組ってやつだな」
先ほど渡された名刺を見ながら弘一は”そうっすね”とだけ答えた。
腕時計を見るとすでに17時を回っていた。
聞き慣れた着信音に小川は返事をしながら持っていた手帳をポケットにしまって携帯に出る。
「はい。あーはい。はい。はい。分かりました。現場で合流します」
通話を終えると小川は弘一に話しかけた。
「アパートで何か出たらしい」
「じゃぁ、俺。もう一件聴取に行ってから向かいます」
「イケメン外科医のとこか」
はい、と返事をする弘一に小川は頷いた。
「そっちはお前に任せる」
小川の言葉に弘一は力強く返事をしたのだった。
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