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第二会議場の使用を許可を事務官に承認され、俺はヒタキと共に会議場の準備を進める。
白のクロスをかけた円卓に今現在のインサイダーの人数……十人分の椅子を用意し、明かりが入るようにカーテンを開けておき燭台にも火を灯す。
インサイダー全員を集めての会議は年に一度あるかないかだ。普段は各自が役割を与えられてそれをこなすのもあり、交流というものを自分から持とうと思わなければ関わる事もない。
一通りの準備を済ませると扉が開いてインサイダー達がやってくる。最初に来たのはエナガ先輩とタカ隊長の二人、次いで、背の高くガッチリとした体格の金髪に褐色肌をしたヌエ・ヒルガオもやってきた。
「よぉイスカ。死に損なったんだってな」
「ヌエ!冗談にしては度が過ぎる!」
快活なヌエの言葉に対し表情を険しくしたヒタキが怒声を浴びせ、それにはヌエもやや驚きつつ間に俺が入りヌエと目を合わせる。
「相変わらずヒタキ嬢ちゃんはぞっこんってやつか。ま、生きてるならいいさ」
そう言って手前側の席に座ると少し置いてタカ隊長も座り、エナガ先輩も隣に座る。俺とヒタキも向かい側に座って他のインサイダーの到着を待つ。
沈黙が続く中、タカ隊長の背後にカラスがいつの間にか姿を現すとヒタキの隣の席に座り、再び扉が開き街に出ていたミサゴ副隊長とアトリもやってくる。
「遅れましたタカ隊長」
「構わない。あとはモズとツグミだけだが……」
ミサゴ副隊長はタカ隊長の隣へ、アトリは俺の隣に座って席を近づけ、それに対してヒタキがアトリと目を合わせ睨みつけているように見えた。
「あんな小娘より私のがいいでしょ?」
理解不能だ。耳元でそう囁いたアトリはくすくすと笑いながら離れ、ヒタキもまた俺の方に席を寄せる行動を見せる。
よくわからない二人のやり取りにはタカ隊長らもため息をついたり、呆れ果てていたり、あるいは表情を変えずに無関心さを見せており、やがて、スカート状になった制服を着た女性……ツグミ・タチバナがウェーブのかかった赤い髪を棚引かせながら会議室へ、最後となった黒い仮面で素顔を隠すモズ・ロープネックがタカ隊長に頭を下げてから席につきインサイダーが全員集まった形となる。
「では、始めるぞ。イスカ、報告しろ」
タカ隊長の言葉を受けて俺は全員にマティアの存在について語り始める。ありのままに、いずれ国の脅威となり得る存在について。
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