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愛なんて
無理矢理女学校に入れられてから、高等科は二年と少し経った。
毎日毎日居もしない将来の男に嫁ぎ尽くすための調教をされ続ける。
留年せずさっさとおさらばしたくて良い成績を取ってるとはいえ、彼奴等の思い通りに上達していく自分に対する嫌気が日に日に増していくのを感じる。
親は昔からどちらも変わらない。
教師も同類だ。
家ではあのくそ野郎に殴られ、
学校では教師に殴られる。
それでもあたしは反抗を止めない。
「躾だ」なんて殆ど嘘。
半分は言うこと聞かないあたしに腹が立ってる。
もう半分は普段のストレスを問題児であるあたしにぶつけてるだけ。
そっちで勝手に決めつけた『殴っても良い奴』を殴って気持ち良くなってるんだもんね?
そうでなきゃ殴られて弱るあたしを見下して、倒れて床についたあたしの手や頭を踏みつけて楽しそうに笑ったりしないだろう?
でも、最近は学校も少しだけ悪くないと思うようになってきた。
親友と呼べる子が出来たんだ。
裁縫や料理の成績はあまり良くないけれどとにかく良い子なんだ。
問題児であるあたしには勿体無い程。
「そこが貴方の良いところ」って言われて一瞬複雑な気持ちになったというか、何か引っ掛かったけれど嬉しかった。
ただ、そろそろ親友ではいられないらしい。
「好き、好きです。付き合って」
唐突に言われた。
あたしも親友のことは好きだった。
けれど、そっちの意味で好きだとは言えない。
あたしは答えた。
「うん、良いよ」
あたしは親友だから。
もっと仲良しの域に入れるのなら良いんじゃないか。
親友の喜ぶ顔も見れたのだから、これで良かったんだよ。きっと
それは甘い考えだったらしいけど。
「恋仲なのに何もしてくれない」だなんて、言われるとは思わなかった。
今までずっとあの振る舞いだったあたしを好いていたんじゃなかったのかい?
突然変化を求められても困るだけだよ。
あたしはどうすれば良かったんだって言うのさ。
恋仲とやらになるとただいつも通り仲良しで居ちゃ駄目なのかい?
結局は少し不良じみていたあたしへのちょっとした興味と好奇心で近付いてきただけだったじゃないか。
これなら殴られた方が痛くない。
わからないよ。
恋仲のすることも
問題児に興味が湧く原理も
親友という肩書きすら失った理由も
陰口であたしをわざわざ孤立させる意図も。
こんなことになるなら軽々しく了承するんじゃなかった。
こんなことになるならもう二度と恋愛なんてしたくない。
こんなことになるくらいなら、いっそ____________
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