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陰世では、太陽神様の要望を受けて、陽世にどのような景色を見せるのが良いかと、会議が行われた。
その結果、やはりまずは陰世の一番の見所である暗黒神殿をお見せするのが良いと、満場一致で決定した。
「しかし、我らの神殿は些か簡素でありますゆえ、より陰世らしい魅力的な姿にイメージし直してお届けしたほうが良いのでは」
「たしかに、陽世の期待に応えるには、今のままでは不十分」
「では、このようなデザインならいかがでしょう」
陰世の神仕え達は、陽世民を喜ばせるために、これぞ陰世と誇れるような理想の暗黒神殿を全力で描き出した。
そして、暗黒神様がそれを太陽神様に送念なさったのである。
「おお……、来た来た、来たぞ」
太陽神様は、興奮したご様子で仰せになった。部屋の外にいた日奈神子も中へ駆け入り、正波仁と共に、写真術を始める太陽神様を見守った。
「ほほう……! これはすごい。これが暗黒神殿か! これはなかなかの……ん? ここはどうなっているのかな? ん……なになに、ふむ、なるほど、ここがこうなって……」
「おお、ご覧ください、日奈神子様! 写真が浮かび上がってまいりました」
「何やら蠢いておりますが……写真術とはこのような過程を経るのでしたっけ?」
「言われてみれば……。太陽神様の念が安定なさらないのでしょうか。しかしこのまま写し取りが完了すれば……」
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