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 太陽神様は、瞳を強く閉じて眉間に力をお入れになり、暗黒神様から受け取った神殿を正確に写し出そうと全神経を集中なさった。  あまりにも注力なさったためであろう、次第に部屋の空気が破裂を起こし、時空が歪み、日奈神子があっと声を上げた時にはもう遅く――、太陽神様の手中の紙からどす黒い何かが勢いよく立ち(のぼ)り、ドーンという轟音と共に天井を突き破った。  二人はそれを見上げて茫然と立ち尽くす。太陽神様は際限なく暗黒気流を吐きだす紙を両手で掴みながら、叫んだ。 「正波仁よ! この上空に我が受念した暗黒神殿があるはずだ。急ぎ外へ出て、その姿を写真に写し取るのだ!」  もはや何が起きているのかわからなかった。わからないまま、とにかく正波仁は日奈神子と共に太陽神殿の外に走った。  太陽モニュメントの側まで走り出て振り返り、上空を見上げると、そこには、巨大なおどろおどろしい建造物が、紫煙を吹き出しながら太陽神殿を覆い尽くさんとばかりに垂れ込めている。 「な、なんということ……!」  あまりの恐ろしさに絶句する日奈神子。その横で正波仁は、驚いている暇はないとばかりに暗黒神殿を写真に写し取り始めた。
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