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四
結局、件の写真は太陽神様から暗黒神様へのお礼として、陰世に贈られた。暗黒神様と陰世の神仕え達は、たいそうお喜びになったそうである。
一部始終をお聞きになった暗黒神様からは、
「ちょっと張り切り過ぎちゃってごめん」
と謝罪があった。
太陽神様は一枚だけ複製した写真を、記念にと部屋へ飾られた。
突然現れあっという間に消えた暗黒の建造物に怯え、右往左往していた陽世民は、日奈神子が出したお触れを受念して、次第に落ち着きを取り戻した。
曰く、
『此度の騒動は、陰世との通念に不具合が生じたためであるが、太陽神様のお計らいにより受難を免れた。今後に影響は無いので案ずるに及ばず。』
陽世民は、太陽神様は瞬時に陽世を救うほどのとてつもない力をお持ちであると畏敬の念を新たにし、菓子にして食べる行為を自重した。
しばらくの間、各地のコミュニティセンターでは太陽神様拝観の列が後を絶たず、そしてまた、陰世を見てみたいなどと申す者は、誰一人いなくなったのである。
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