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「なるほど、民達は陰世に関心を持っておるのか」 「さようでございます。陰世の景色を見てみたいと、皆口々に申しております」 「それでは正波仁を陰世に送り込むか……。汝、一人で行って来れるか?」 「陰世へですか? そ、それは、行けるものでしたら……」 「暗黒神に連絡をとって、受け入れを願い出てみよう」  そう仰ると、太陽神様は自室へとお引き上げなさった。 「正波仁、そなたずいぶん有名人になっているそうではないですか。この上、陽世民初の陰世訪問者ともなれば、大変なことになりますよ」  日奈神子は、珍しく正波仁を案じて言った。 「ええ……、私も、実は少し戸惑っているのです。私はこのように名声を得たかったわけではなく、ただ太陽神様の御為(おんため)になればと……」 「そなたの念色を見れば、欲など持たぬ者であることはわかっています」  だからこそ、このまま俗世間に野放しにしていては、その人の良さから思わぬトラブルに巻き込まれないとも限らない。  もちろん、陽世民は皆穏やかで、悪意を持つ者などそうそう居はしないのだが、正波仁の善意でさえトラブルの種となったのだから、このような大きな変化の中でいつ何が起ころうと不思議ではないのだ。 「こうなってしまったら、そなたを太陽神殿へ迎え入れることも考えねばなりません」 「えっ! 私めがこちらにですか!?」  思いも寄らない提案に、正波仁はたいそう驚いた。 「良くも悪くも、太陽神様はそなたのことをお気に召されています。こうして陽世に貢献もしている以上、それ相応の身分を与えることも妥当と言えるでしょう」 「日奈神子様……」 「私としては、そなたをあまり太陽神様に近づけたくは無いのですけどね」  日奈神子の正波仁への警戒――いや、太陽神様と正波仁が意気投合した結果への警戒は、まだ解けてはいないようだ。  
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