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「……寝てたのか」
いつの間にか寝ていたのか、気づけば朝になっていた。陽は高く上っていて、白い光が目に痛い。
外からは賑やかな声が聞こえてくる。楽しそうな笑い声。耳にするだけで嫌になる。どうして皆笑っていられるんだろう。
これ以上、外との繋がりを感じたくなくてカーテンを閉めた。途端に薄暗さが空間を支配する。この暗さに心地良さを覚えるようになったのはいつからだろう。もう思い出せない。
「お前、いつまで逃げてんの?」
暗がりの向こうにいる自分から声が聞こえる。暗くて映らないはずの姿見と目が合う。
「皆、普通に生きてるのに。どうしてお前は同じように生きられないんだよ?」
……うるさい。
「ずーっと部屋に引きこもってそれで何になる?」
……うるさい。ほっといてくれ。
「死にたいなら死ねばいいのに。そんなことも出来ないんだろ?」
……聞きたくない。
「やっぱりお前は……」
鏡が何か言い終える前に、甲高い音が響いて欠片が床に飛び散った。砕けた鏡の破片からは、もう声が聞こえることは無かった。
「僕だって……僕だって、そんなこと分かってるよ……」
苦し紛れに呟いた言葉。本当はアイツに言われるまでもなく分かってる。だけど出来ない。怖い、辛い。どうすればいいか分からない。
今までは耐えられていたはずなのに、突然人の視線が怖くなった。自分が他人と違うバケモノのように思えて仕方がない。……そして外に出られなくなった。
僕はいつかこの部屋から出られるようになるのだろうか。この思いを無くすことは出来るのだろうか。
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