バケモノ問答

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あなたは『バケモノ』と聞いて何を想像するだろうか。 怪物、妖怪や幽霊それともゾンビだろうか。 共通して言えるのは、物体であれ、獣であれ、人であれ、大元の実態に怪異の要素が含まれているという事だ。 わけの分からない、理解できない異形、それが『バケモノ』なのだ。 では、例えば外観は人間にしか見えない『バケモノ』はいないのだろうか。 …ほう、「そういうのは『バケモノ』とは言えない」と、あなたは言うのか。 うん、確かにそんな考えもある。 だがそれは確実に存在する。 なぜなら、私がそうだからだ。 …おや、私が嘘をついているとでも? なに、証拠を見せろというのか。 難しいな、見た目は全く人間と変わらないので、証拠と言われても… …ほら、こうして服を脱いで見せても、全く分からないだろう? 身体の作りも人間そのものだぞ、見せてやろう。 さあ肋骨を開いたぞ、胸骨から『観音開き』だ。どうだ肺や心臓はどう見ても人間そのものだろう? 次に腹部はこうして『冷蔵庫開き』だ。遠慮しないでよく見てくれ。 肝臓や胃腸など消化器官も、人間と寸分違わないだろう? おや、どうしたのだ、顔色がひどく悪いぞ。まだ疑っているのかな? ああ、そうか! 比較対象するものが無いと、同一とは判断などできないな。これは私が悪かった。 おわびにあなたの肋骨と腹部を開いてやろう。 …さあ、これではっきりと比べられる。 これで私が人間にしか見えない『バケモノ』なのだと、あなたも理解できた筈だ。 ん、どうした、返事がないが?
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