【おまけでもう一ヵ月】

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* 料理はまだまだ出てくる……ケータリングで頼んだのはカジュアルフレンチ、うちのキッチンで作り、ダイニングテーブルに次々に並べてくれる、ブッフェスタイルだ。作るのがひとり、それを並べたり次から次へと食器を洗ったりしてくれる人がひとり……楽ちんだけど、いくらするんだろうなんて気にするところが小市民だ。 あたりが暗くなってきた、電気を点けようと立ち上がろうとしたら手を握られて引き留められる。 「あの、トイレへ……」 それなら仕方ないと手を離してくれる、電気を点けて、ついでにトイレに行った。 「部長、ベランダ出ていいですか!」 市松さんが元気に聞く、部長はグラスを傾けながらどうぞと応える。市松さんはあらかじめあったサンダルで外へ出て、植木さんが玄関から靴を持って一緒に並んだ。 「夕闇迫る港の景色~、昼間もよかったけど、これくらいの時間が一番ね! 横浜港ひとりじめ!」 身を乗り出してまで市松さんは喜ぶ、スマホを出してまずは景色を撮り、今度は自撮りしようとして、それを遠藤さんが撮ってあげると言うと、植木さんとふたりで収まっていた。 「サイコー! ねえねえ、部長! 自宅なうでSNSにあげていい?」 「嘘はつくな」 「ええ、ケチぃ。じゃあパーティーなうで」 なにやら操作しながら中に戻ってくる。 「いいなあ、いいなあ、やっぱりいいなあ、会社近いし、セレブ感満載だしー。部長、部屋余ってるんでしょ、一部屋貸してください、そしたら自宅なうでアップできるし」 市松さんが言う、酔ってるな。 「家賃、20万」 部長の返答、わ、ぼったくりだ。 「いやいや、みなとみらいに住むなら、それくらいの出費……」 市松さん、住む気まんまんですね。 「一緒に住んで、割り勘にしようか」 植木さんもですか! 「ええ、じゃあ私もぉ、近いの理想」 遠藤さんまで! 途端に部長は「冗談だ」って言ったけど、三人は無視して同居の話を進めてる……うーん、でも5人くらいなら住める広さなんだな……。 * 6時になって、契約が終わったケータリングの人は帰った。それをきっかけに皆も帰るムードになって、市松さんは残るって言い張っていたけど遠藤さんに連れられて家から出た。 皆、大丈夫かな……結局10本の空いた瓶が転がってる……よく飲むなあ。タクシーで帰れと部長は近くの商業施設のタクシー寄せまで送ってくると言って出掛けた。その間に私は後片付け。ワイングラスや食器類はうちのものだ、調理に使ったものは洗ってくれている、ケータリングは楽でいいな、部長に感謝だ。
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