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種明かしと四条潘ヒロシという人間(?)
「聞いたかヒロシ? アイツら、ちゃんとスパイク返したって」タクミはどこか愉快そうだ。
「ああ、聞いたよ」
翌日、ユウトからのメッセージがケータイに届いていた。お礼の文章と、三人が誠心誠意謝ってくれたということが書かれていた。
「で? なんで妖怪じゃないって気づいたんだ?」にやけながらタクミは聞いてくる。そうだな、もう話してもいいだろう。
「まず一つ、妖怪はスパイクに興味はない。落としたとしても、拾わないだろう。次に二つ、現場に気配がなかった。十中八九人間の仕業。そして三つ目……ユウトについてきた時の奴らの顔、おぼえてるか?」
「あーやっぱりね。すげぇ悪そうな顏してたよなぁ」
「そういうこと」
「なるほどねぇ……おや? やっぱりおいでなすったぞ」タクミは昨日と同じように、入口へと顎をしゃくる。
「ん?」
見ると、そこには昨夜の三バカが雁首をそろえていた。その顔は、昨日のユウトみたいに生気がなく、深刻そうだった。
「あー、いったいどうしたんだろうなぁ?」
「――ふっ、さあな」
「やれやれ、人気者はつらいねぇヒロシ? んじゃまぁ、可哀そうだし、救ってやるとしますか――やぁやぁ諸君! 我は高校生祓魔師の親友建守タクミなり! 四畳半ヒロシくんに何か用かな?」
難儀なものだ、怪異を利用しようとした奴らが、今度は怪異に怯えるとは。タクミが口上を話しながら入口に向かうさまを、俺は笑って眺めていた。
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