介護研修

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 猪迫さんが仕切りながら、ミーティングが始まった。  夜勤明けのスタッフからの報告、そして個々の入居者に対する注意事項。  今日の予定。唯たちは後ろの方で神妙に話を聞いている。  「それで、先日お話ししたとおり、今日は高校生の介護研修生が来ています。それじゃあ、ふたりとも前に来てくれる?」  猪迫さんが促すと、唯たちは硬い表情でみんなの前に立った。 「こちらが能瀬さんで、こちらが仁志田さん。今日から二日間、介護の仕事を頑張って貰います。能瀬さんと仁志田さん、何かわからないことがあったらスタッフに遠慮無く聞いてね」  まず唯が緊張した面持ちで、 「能瀬です。何もわからないことだらけですけど、一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします」  と頭を下げた。 「仁志田です。よろしくお願いします」  さすがにふて腐れた表情を抑えた真由が頭を下げると、拍手が起こった。 「頑張ってね」  あちこちから声が掛かる。 「では、始めましょう。一日よろしくお願いします」  猪迫さんが言うと、スタッフが一斉に「一日、よろしくお願いします!」と唱和するように大声で答えた。  その大きな声に唯は驚いたのか、さらに緊張した面もちになる。  スタッフが慌ただしく出るのを見届けると、「さあ行きましょう」猪迫さんは笑顔でさっそうと歩く。  小太りの身体に、自信がはち切れんばかりに漲っているようだ。
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