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せっかく、真由が話しかけてくれているのに、唯はもそもそとご飯を口に運ぶだけ。そんな態度を見て、わたしは段々唯にイライラしてくる。
ほら、せっかく距離を近づけるチャンスなんだから。もっと、心を開かないと!
わたしは無理矢理唯の顔を両手で挟んで、真由の方に向けてやりたくなる。
唯は本当に優しくて良い子なのに、みんなにそれを解って貰えないのがもどかしい。
大腸さんは、わたしの事を若い娘だと言っていたけれど、今の唯と同じくらいの年だったのかなと思う。
わたしは自分の親や周りの人に、こんな風に心配を掛けていたのだろうか?
きっとたくさんたくさん、心配を掛けたことだろうな。
今、わたしの親は何をしているのだろうか?
―――もうとっくに亡くなっている? だとしたら、いつか会えるのだろうか。
今更なのだが、こうやって唯と学校の友だちが一緒にいたりすると、わたしも色々考えてしまう。
「そうそう。二番目に来たおばあちゃん、気持ちいいって何度も言ってくれてたよね。レポートはそこら辺を強調して感想に書いた方が良いね」
真由の言葉に、唯はこくりとうなずくことが精一杯だ。
部屋の中は、お昼休みを取る他のスタッフも次々と来て、談笑しながら昼食を食べ始めた。
お昼を食べ終わり、部屋の隅へ移動した唯たちは、居心地が悪そうに大人しくしている。
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