騒々しい幽霊、再び

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 そのうちに猪迫さんも来た。猪迫さんは自分の昼食をさっさと済ませると、ゆっくり休む時間も取らずに、唯たちに付いてくるように声を掛ける。猪迫さんが立ち上がるのを合図にしたように、他のスタッフも皆部屋から出た。再び猪迫さんは部屋に鍵を掛ける。  多目的ホールでは、先に昼食を終えた老人たちが各々寛いだ様子でテレビを見たり談笑したりしている。 「それじゃあ、これから個室の掃除をするからよろしくお願いね」  掃除機を手にした猪迫さんは、ふたりに微笑む。  最初の部屋は猪迫さんが見本を示すような感じで、ベッドのシーツを替え、床に掃除機を掛けた。初めはおっかなびっくりだったふたりも、段々と慣れてきたと見えてテキパキと動けるようになってきた。 「能瀬さん、それ取ってくれる?」  掃除機の換えのノズルを取ってくれるよう頼む真由の言葉に、唯も自然と反応し手渡すことができた。 「ありがとう」  真由の笑みに、唯もぎこちないながらも笑顔を作る。 「良いわね。ふたりとも息が合ってきた感じ」  猪迫さんがまた大袈裟に褒めると、「本当ですかあ?」真由が笑うと、唯も満足げな表情を浮かべた。
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