2/6
前へ
/67ページ
次へ
スズラン。それが櫻井さんが経営する同性愛用デリヘルの名前。 花言葉は「純粋」「純潔」。俺たちの仕事とは真逆の意味。 客層は金持ちの男たち。 初めての相手は某会社の社長だった。 60を越えているのに元気なものだ。 「櫻井さんはいい子ばかりを揃えてるね、どう?気持ちいい?」 あの指の動きに比べれば誰の行為も気持ちよくはない。 「あ・・・、加賀谷さん、気持ち・・いいです」 早くイッてくれと思いながら適当に演技する。 遅漏なのかなかなか終わらない。いい加減麻痺して感覚がわからなくなってきた。 「ああ!もうダメですっ・・・イキそう・・・・っ」 わざとらしい演技をする。俺は全然違うことを考えながら自分で自分をしごいていた。 「直也くん、一緒にイこう」 出来るわけないだろ、早くイケよ、心の中で悪態をついていたら終わった。 生は禁止事項で、客はゴムの中に白い液体を放出する。 「・・・よかったよ直也くん。久しぶりにイケた。ありがとう」 荒い息をしながら小太りの体が離れて、俺に万札を握らせる。 「え?」 料金は櫻井さんに先払いのはず。 「お小遣い。イカせてくれたお礼に。また指名してもいいかな・・・?」 俺は嬉しそうな笑顔を作って加賀谷の頬に軽くキスした。 「じゃあこれは二人だけの秘密ね」 客が喜びそうな言葉を吐いて、シャワーを浴びてからさようなら。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

461人が本棚に入れています
本棚に追加