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「うりちゃん置いて帰るの?まだ屋上でパン食べてるよ」
「何で置いてきてんだよ」
「私はこれから授業があるのー。サボってばっかりな新と一緒にしないで、数学だから絶対遅刻出来ない」
「ほんと馬鹿」
「どっちが」
乱暴にミルクティーのパックを拾い上げて、八つ当たりするようにストローをぐいぐいと付き差してやる。
「ていうか、何で新学校に居るの?修学旅行じゃないの?」
「今更すぎだろ。行かねえから居るんだよ」
「ふーん、そっか」
これ以上の追及はタブーな気がして、引き下がりながらもミルクティーを口に含んだ。
丁度そのタイミングで予鈴が鳴って、慌てて階段へと足を向ける。
「うりちゃんの所行ってあげてね」
たぶんきっと、そんな事言わなくたって新は行くんだろうけど。
新はもっと素直になれば良いと思う。
他の人に割く時間をもっとうりちゃんに当てれば良いと思う。
それで、もっと好きな人に優しく出来るようになれば良いのに。
だって一生なんてありえないんだよ。
いつかは絶対、どんな関係だって崩れちゃうんだから、後悔しないように過ごさないといけないんだよ。
もしもうりちゃんが誰かの事を好きになった時、新はそれを我慢できるの?
その時全く後悔しない?
私は我慢も出来ないし、後悔だってすると思う。
だからーーーーこの関係が自然に壊れてしまう前に、私は一歩を踏み出して終わりたいの。
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