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「高鳴」
「っ…!」
「お前の気持ちはわかった。だけど俺は負ける気は無いし、わざと負けるなんてお前の覚悟を台無しにするつもりも無い。これはお前が望んだことだ、どんな結末になろうがお前には全部受け入れる覚悟があってここに来たことは俺にもはっきり伝わってる」
「それでも」と、夜道は響の目を見つめてこう続けた。
「俺は負けるつもりは無い」
「……それが、夜道の答えなんだな」
グッと歯を食い縛って涙を拭った響は震える声で返す。
「だとしても、あたしは嫌なんだ…」
「………」
「あたしは夜道が好きだ……これ以上に誰かを好きになんて絶対なれないし、夜道以外なんて考えられない、考えたくもないっ…。夜道じゃなきゃダメなんだよっ…!」
「色々と苦労するぞ」
「苦労…?この、わからず屋が…!お前と一緒ならどんな苦労も頑張れるってなんでわからないんだよ!!今までもそうだった![理の探究団]なんてとんでもない奴らに狙われてても、どんな怖い目に遇って、夜道が死ぬような光景を目にしても!あたしは夜道がいたから今この瞬間まで頑張ってこれたんだ!!」
「今のお前は他人にすがらなきゃ頑張れないような奴じゃないだろ」
「頑張れない!!」
断言する。涙を溢れさせて顔を濡らす響は叫ぶように。
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