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「あたしの心にはいつも夜道がいた、だから頑張ってこれたんだよ!カイスレックとの戦いが終わってもずっと鍛えてきたのはこの時のためだ!夜道と離れ離れになんてなりたくない一心で必死に鍛えてきたんだ!!あたしの人生にはもう夜道は絶対いてくれなきゃダメなんだよ!!」
「……高鳴…」
「ヤだッ、絶対夜道との関係を終わらせたくない!これからもずっと一緒にいたい!夜道と恋人になりたい!結婚して子供を産んでジジババになるまで一緒に過ごしたい!!あたしにとってこれほど幸せなことはないんだ!!そのための苦労なんて苦労じゃない!!」
響の全身から雷が勢いを増して噴き出した。地面を引っ掻き柱のように立ち上る魔力に当てられる夜道は眩しくても目を細めたりしなかった。
ただ響を見つめる。響の言葉を、思いをしっかりとその身と心で感じる。
「……あたしと一緒にいてよ…夜道…」
泣きながら、掠れた声で訴えてくる。
夜道が見たくなかった顔で響は呼びかけた。
返す言葉はただただ静かだった。同じ言葉を繰り返しただけだった。
「俺は負けるつもりは無い」
それが答え。
響はもうまともに視界を確保出来ないくらいに涙を流して、そのまま地面を蹴って夜道へ駆け出した。最速最短で、自分の爪が肉に刺さるほどに握り込んでいた右手を振りかぶって。
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