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響の言葉に夜道は小さくため息を零す。
「勝負の結果は見ての通りだ。お前も二言は無いだろ、俺の勝ちでお前の負け。そもそもこの俺に勝とうなんざ百年早いんだよバカ」
「ハハ……そう、だよな…わかってたけどさ、やっぱり諦められなかったから……勝てないってわかっててもやるしか無かったんだよ…」
「当然の結果だ。『死者を惑わす愚弄者』の力かお前の技術の向上かは知らないが傷も治ってるし痛い所も無いだろ。いい加減帰ろうぜ、そのダウンは貸してやる。あと着物も忘れるなよ、復元魔術で直さなきゃなんねえんだから」
「…………」
「……どうかしたか?」
「なんで優しくするんだ」
「あん?」
「あたしは負けたんだぞ…夜道は勝って、あたしの要求を拒んで、もうこれからは別々の人生を生きていくってなったじゃないか……なのになんでまだ優しくするんだよ…こんなことされたら、あたしは…!」
「そもそもお前が勝手に言い出したことじゃねえかそれ。俺がそれに従う義理は無い」
「え…?」
「確かに俺は学校を辞める。これは変わらない決定事項だ、お前とのこれまでの関係が終わるってのも事実」
「………」
「───だったらもう一度始めればいい話だろ。俺がいつお前と一生会わないなんて言ったんだ?」
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