Story‐10 約束の継続と純粋な願いを

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本気で引いている夜道。でも響はそれどころじゃなかった。顔の痛みなんて感じない、『死者を惑わす愚弄者』の力で痛覚を遮断しているわけでもないのにだ。 今の響は幸せな気持ちが溢れていた。だから痛みなんて感じない。そんな物は幸せな気持ちが食い潰してしまった。 「こっ、婚約指輪ってことだよな……夜道がこれをくれたってことは、つまりそういうことだよな!?」 「………ま、まぁ、そういうことだな…」 「どういうことなんだっ!?」 「はっ、はぁ!?」 「そういうことってどういうことだ!?ちゃんと言葉にしてくれなきゃ伝わらないじゃんかっ!!」 「お、お前もうわかってんだろ…」 「いーやわかんないっ!ちゃんと言ってよ夜道!この指輪にはどういう意味が籠ってるんだ!?」 グイグイ来る響から後退りしても追いかけてくる。言うまで永遠に迫ってきそうな勢いに夜道は顔を真っ赤にしながら響の両肩を掴んで半ばやけくそ気味に、 「───お、お前が好きってことだよッ…!」 「あたしも好き!!」 夜道の両手を内側から引き剥がして、そのまま響の両手が夜道の首の後ろに回って───二人の唇が重なった。 「○◆△☆℃@*#£%ッッ!!??」 目を白黒させてパニックになる夜道。響の熱烈なキスに忽ち頭がショートして耳から煙りを吹き出してしまった。
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