格闘料理人矢車

プロローグ

　
加賀美は、少し考えた。
そして、答える。
「料理人かどうかはわからないけど、怪しいやつなら……」
先ほど、道を尋ねてきた男たちのことを天道に話した。話を聞く天道の表情から考えて、あの男たちが天道の言う“怪しげな料理人”で間違いないようだ。しかし、彼らはいったい何者なのだろうか？ 天道の慌てようから、ただ者ではないことはわかるが……
それに、あの店に向かう理由は？ ただの食事ではないだろうし、料理の腕を競おうとでも言うのだろうか？ しかし、それならば、もっとふさわしい店があるはずだ。いろいろと疑問はつきない。
加賀美は、とりあえず思いつく一番の謎について天道に聞いてみた。