奇妙な同国人

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ELプレーオフから1日で行われたブンデスリーガ第3節 ドルトムントがこの日ホームに迎えたレヴァクーゼンは、昨シーズンブンデス3位の上位クラブで、開幕から連勝しているクラブの1つである フィオレンティーナ戦から48時間に満たない中での試合は心身に堪え、ドルトムントも前の試合から大幅なメンバー変更を強いられた センターバックのアーレとハグマイヤー、そしてゴールキーパーのシュトルツァーはスタメンに名を連ねたが、それ以外の選手はほぼ総入れ替え状態となり、ゲルツやハヴェズダもベンチスタートとなった 立ち上がりからドルトムントは劣勢を強いられながら懸命にゴールを守るも、後半開始から立て続けに失点を許してしまった 2点のビハインドから追い上げるために後半途中からハヴェズダとゲルツを投入するも結果は実らず、ドルトムントはレヴァクーゼンに敗北し、今季初黒星を喫した それからクラブ親善試合を挟んで2週間後に敵地へ乗り込んだフライブルク戦にはいつものレギュラーメンバーが名を連ね、3‐0で試合を締めくくって快勝した ちなみにいずれの試合にも海堂は出場せず、よって9月に入ってからフラストレーションがたまっていた そして直近の出場機会から3週間が経とうとしたところで、ようやく海堂にも出番が回ってきた 9月第3週のミッドウィークに開幕したヨーロッパリーグ・グループステージ その第1回戦となるドルトムントとザルツブルクの試合がジグナル・イドゥナ・パルクで行われる ザルツブルクはオーストリア国内で有数の強豪クラブなのだが、近年では経営破綻などの理由から一時期低迷していた しかし大手企業に買収されてからチームは上昇気流に乗り、見事復活を遂げてこのヨーロッパの舞台に舞い戻ってきた さらにザルツブルクはスカウティング部門にも長けており、優秀なスタッフがアフリカ、南米、そしてアジアなどの広範囲から優秀な若手選手をかき集めていた その国籍はフランス、ノルウェー、セネガル、ギニアなどバラエティに富んでおり、その中には日本人選手の名前もあった 試合前にヴィンターが海堂に知っているか訊ねたところ、海堂は眉をひそめながら首を傾げた 「なんて読むんだこれ? うみ……おい……す?」 今年で19歳になるザルツブルクの日本人は海堂の同期に当たるのだが、海堂自身はこの男と面識がなかった
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